ブランディング
イメージ戦略をブランドと考えられがちですが、「brand=ブランド」という言葉の語源は「Burned」、つまり「焼き印を押す」という意味から由来しています。 自分の牧場の家畜と他人の牧場の家畜を区別するために焼き印が押されていて、そこから「銘柄」や「商標」を「ブランド」と言うようになりました。
他と区別するために押される「焼き印」に象徴されるように、その「ロゴマーク」や「ネーミング」という単純なもので企業や商品を識別させることが ブランディングの鍵となると考えます。
ブランディングの現状
企業が考えているブランドと、消費者にとってのブランドは、出発点が異なることを理解できていない企業もあるようです。それが、ブランディングがうまくいかない理由となってしまうかもしれません。
消費者にとっては、企業、あるいは商品・サービスに対して認知することがブランドの出発点になります。消費者と企業が出会う最初のきっかけの多くは、一般にロゴマークや名称を見聞きすることなので当然です。
一方で、企業にとってのブランディングの出発点は、ロゴマークや名称についてアイデア出しをすることではなく、
企業自身であればビジョンや戦略、商品・サービスであればコンセプトやターゲット・顧客価値などを整理して、最も訴求すべき要素を明確にしていかなければならないのです。
しかし、ブランドを戦略的に位置づけて考えている一部の企業を除いて、ロゴマークや名称を考えるにあたって、ターゲットに与える価値や効果を明確化しているケースは多くありません。 きれいにデザインされたロゴマークは出来てもそれが結果(売上・利益)につながることが少ないのは、そこにあるのではないのでしょうか。
ブランディングのその先
どんな企業であってもまずブランドを認知してもらうための活動が、消費者に対するブランディング活動のスタートとなり、消費者はブランドを認知してそのブランドとの付き合いをスタートさせます。
そして、一度そのブランドを認知してもらった消費者に対しては、さらにその消費者が商品・サービスを選ぶ段階で、そのブランドを想起してもらうことが必要になります。
その段階になっている消費者に対しては、ブランド名を連呼するような活動では不十分となり、ここで初めて、詳しい商品・サービスの説明やそれを購入することによって得られる価値を具体的に説明することが必要になるのです。
しかし、いくらブランド認知を高めブランド想起が出来るほどになったとしても、あらかじめ抱いたイメージと、実際に対価を払った結果とのギャップが大きい場合には、悲惨な事態になります。そしてさらに、一度高評価を得ることができたとしても、継続して同じ評価がされるように気を配る。これもブランディングで大切なことなのです。
効果的なブランディングのために
ブランディングを考える中で、イメージは重要です。
しかし、ブランディングにおけるイメージとは企業あるいは商品・サービスが目指すものが何であるかをわかりやすく表現したものであり、ブランドはそれらイメージの総合体であると捉える必要があります。
そのため、企業が目指すイメージと実際に消費者が持っているイメージとの間にどの程度ギャップがあるかを確認することが重要となります。
ブランド戦略を考えるにあたっては、消費者に対し、ブランドイメージについての調査を行うべきですが、単に消費者が持っているイメージをチェックするのではなく、あらかじめ目指すべきイメージを明確にし、その仮説とのギャップを確認する、という流れで行うことが効果的です。
この作業にあたっては、おそらくかなりの企業がまず「仮説」から考えこんでしまうことになると思いますが、その仮説設定作業がブランド戦略の大変重要な部分となるのです。ここでじっくり取り組むことが、ブランディングを効果的に進めることにつながっていくはずと考えています。